なんかさ、30過ぎてからの失恋って、めっちゃ堪えない？若い頃よりずっとしんどい…
わかる！ただ泣くだけじゃ済まないよね。将来まで考えてた分、失ったものが大きすぎる…
そうそう。私なんかさ、3年付き合った彼に振られて、1ヶ月くらいずっと無気力だった…
それ、美沙もそうだったって言ってたな…。でも、彼女、少しずつ前を向いていったんだよ。
え、美沙？あの美沙が？どうやって立ち直ったんだろ…
それがね…本当に映画みたいな話なんだけど、聞いてほしい。
第1章終わりは、突然だった
陽が沈みかけた帰り道、彼の言葉は、あまりにもあっさりしていた。
「……ごめん。もう、気持ちがわからなくなった」
一瞬、頭が真っ白になった。
「どうやっても消えたって、何？」
そう問い返す声さえ、自分のものじゃないみたいだった。
美沙（みさ）、35歳。
近所の広告代理店にいる彼女は、3年たって5歳下の彼と、結婚を意識し始めていた。
末、彼の部屋で毎週過ごした日々。
考えないLINEのススメ。
ふとした笑顔。
むしろ、未来を信じていた自分。
それが一瞬で崩れた。
第2章 空の日々と、繰り返す夜
あの日から、美沙の世界は続いた。
朝、目が覚めるたびに胸がぎゅっと痛む。
食欲がない。音楽もテレビも雑音にしか聞こえない。
スマホに手を伸ばしては、彼のアイコンを見てしまう
。
未送信のままのメッセージが、お母さんも並んでました。
会社では、なんだか笑って過ごしました。 でも、帰宅後は静かな部屋で、涙を流すことしかできなかった。
第3章少しずつ、少しずつ
ある日、ふとスマホに届いた一通のLINE。
大学時代の親友・沙耶からだった。
「今週末、ひさびには会わない？」
替え弁当て、「行く」と返信しました。
久しぶりに会った沙耶は、美沙の顔を見ながら手をかけてこう言った。
「……よく頑張ったね」
その一言に、張り詰めていた糸が切れました。
カフェの片隅で、何も気にせずに泣いた。
沙耶は黙って、ハンカチを差し出してくれた。
第4章 「私」を取り戻す旅
その日を境に、美沙は少しずつ「自分のための時間」を置いていた。
朝の散歩を始めてみた。
職場の人に遠慮してヨガに行ってみた。
読みかけだった小説を、ソファに座って最後まで読んだ。
一人の時間、孤独ではなく「自由」に変わっていくのを感じた。
ある日、気づいた。
「私、ずっと“彼との未来”しか見ていなかった」
の「好き」や「夢中になれること」が置いてあった。
第5章 出会いと「わたし」という存在
美沙は、少し髪を切った。
クローゼットの奥に無くなっていた赤いワンピースを着た。
久しぶりにネイルサロンに行って、ピンクベージュを選んだ。
周囲が気づく前に、自分が自分の変化を感じていた。
「失恋で壊れたんじゃない。私、今、生まれ変わってるんだ」
そう思われたとき、美沙の目に映る世界が、少し色を抜きました。
第6章 新しい景色の中
後半――。
美沙は、同僚に喜ばれた登山イベントに参加していた。
自然の中で感じる風、土の匂い、太陽の温もり。
そこに、特別な人がいるわけじゃない。でも心が穏やかだった。
ふと、同じグループで参加していた男性が話してくれました。
「今日の景色、すごくきれいですね」
美沙は、にこっと笑った。
「はい、ほんとに」
ただ、「いいな」と
思ったこの瞬間が、幸せだった。
第7章 さよならのあとに
失恋は、苦しくて、悲しくて、どうしようもなくて。
それはともかく、「あなたが本気で愛した証」であり、「あなたが誰かをできる人」だった大切な証でもある。
美沙はもう、彼のことを思い出しても消えた。
たまにふっとびっくりしたが、もう「未練」ではなく「思い出」に変わっていた。
そして、これからの人生の主人公は、「誰か」ではなく「私」。
未来はまだ白い紙。 だから、何色にも染められる。
エピローグ
夕焼けに染まる帰り道、美沙は足を止めて、空を見つめた。
「また、恋をしよう」
そう思われたその瞬間――
本当に、失恋から立ち直ったのだと、彼女は気づいた。
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